うしろすがたのしぐれてゆくか

愛するフレンチブルドッグと昨日と今日と明日と旅と。

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DSCN0091.jpg

SARSが大流行しているシンガポールから
飛行機に乗ってマレーシアへ脱出。

その日搭乗した機内に日本人はふたりだけ。
ほかには欧米人が若干名…と、かなりスカスカ。
わたしたちは、乗り込む直前に意気込んでマスクを装着した。
例の、ドーム型になっているウイルス進入防止用のものだ。

しかしいざ乗り込んでみると、誰ひとりマスクなんてしていない。
周囲の視線も痛いし、かなり恥ずかしかったのだが、念のためそのままでいた。
客室乗務員の方々は皆マスクを装着していて
私と目が合う度に、恥ずかしそうに「ふふっ」と笑う。

マレーシアに着いてみると、シンガポールとはまるで違う雰囲気で
街の様子もいつもと全く変わりがない。

「あー助かった…」と、ホテルで数日のんびりしているうちに
どうもカラダの調子がよろしくないことに気がついた。
だるいし、微熱っぽいし、おまけに咳まで出てきた。
コレってまったくSARSの症状と一緒じゃない!?
不安は雪のようにどんどん募るばかり。
だんごさんに促されて、すぐさまタクシーで病院へ向かうことにした。
タクシーの運転手さんは
「ここではまだ患者が出ていないから大丈夫だよ」なんて言う。

まずは病院の受付で、ざっと症状を説明する。
「数日前までシンガポールにいました」
そう付け加えるなり、それまでダラダラしていた受付嬢は
急に色めき立った様子になり、目の前でいきなりマスクを装着。
そして私にもマスクを渡し、だんごさんにも「つけて下さい」と言った。
そのまますぐに、受付横(院内のどこにもつながっていない、入り口すぐの部屋)
の処置室に通され、だんごさんは外で待つように言われる。

わたしはベッドに座らされ、ドキドキしながら待っていると
看護師さんがひとりやって来た。
彼女は例の、シンガポールのテレビ番組で観た
宇宙服のようなものを全身にまとっている。
一瞬、このギャグみたいな状況…テレビで観ていた光景そのままに
自分の身が置かれているのでぎょっとしてしまったが
「やっぱり私はSARSに感染したの?」と、すごく不安になる。

しばらくすると医師がやって来て、開口一番こう言った。
「Hello! How are you!?」
そこでわたしは一瞬、言葉に詰まる。
これは一般的な挨拶だから「I'm Fine!」とか「Good!」と答えた方がいいの?
でも「Fine!」といえるような体調じゃないし…と考えたあげく
「Good!」と答えてはみたものの、やっぱり納得いかない。

DSCN0115.jpg

結局、わたしだけの為にこの部屋を使い
わたしだけの為にレントゲンが機械ごと運び込まれて、胸部を撮影。
SARSは肺炎なので、肺に炎症が無ければ多分風邪だそうだ。
結果はしばらくすれば出るという。
まるで有事の際みたいな周りの雰囲気に圧倒され
すっかり意気消沈したわたしは、脱力感でいっぱいだった。
慰めようとしてなのか、看護師さんがいろいろ話しかけてくれるのだが
ボーッとしてしまい「大丈夫?」と心配される。
数分後、戻ってきた医師によって、SARSではなかったことを知らされ
その場にいた病院のスタッフはみんな「ハハハ」とホッとしたように笑い
私はかなり照れ臭い思いで、つられて笑った。

こうなると、目の前の防護服がなんだか妙に可笑しくなってくるし
わたしのせいでこれ程大げさなことになってしい、本当に申し訳ないとも感じる。
医療費は結構高くついたけれど、それでも日本に比べればずっと安いし
まあ…ただの風邪で良かった。

ただ、このことで少し思うことがあった。
すこしあとでタイに渡り、NHKテレビを見ていたが
日本ではまだSARS患者がひとりも出ていないというのに
やけに大騒ぎしている様子だった。
ある病院の医師が「うちに来られると他の患者さんに迷惑なので
出来れば来ないで欲しい」と発言していた。

少なくとも、私が受診した病院はそんな雰囲気は無かったし
飛び込みでいきなり行ったけれど診てくれた。
隔離できる部屋もちゃんと用意されていた。
もちろん、まだ患者がひとりも出ていない段階で、だ。
もしも日本に上陸していたら、相当なパニックになったかもしれない。
とりあえず、私が日本人患者第一号でなかったことには、心底安堵した。
だけど、この時点で自分がSARSに感染していたとしても
マレーシアかタイの病院で治療してもらっていれば
日本よりもきっと、ずっと安心だったと思う。
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ああ!シンガポール&マレーシアは懐かしい。
チタリニさんの貴重な体験談の日記を読ませて
いただいて最初にそう思った私です。(ごめんなさい)
私も何度か行きました。
空港に着いて国の匂いが気になり、2、3日は耐えた覚えがあります。

「SARS」はTVや新聞で見た覚えがあります。
いつも人事の様に思い見過ごしてしまうけど、
チタリニさんの体験を読ませていただき、
改めて怖い流行の病気だったと思いました。
うん、でも本当にSARSではなくてよかったですね。

2006.11.28 19:55 URL | びーち&ぴーち #- [ 編集 ]

>ぴーち&びーち さま
空港の匂いって、そこによって違うし
東南アジアは結構独特の匂いがするんですよね。
前に、多くの欧米人が「成田は魚クサイ」
と言っているという話を聞きました。
日本人としては「そうかな…?」って思うんですけど。。。

最近は鳥インフルエンザが流行っているし
うちの近所の土手にも、冬になると渡り鳥の糞がいっぱい落ちていて
よっぽどいい匂いなのか、どのわんこ達もぺろっと食べちゃうんです。
なので、人間以上に要注意かもしれませんよね~。

2006.11.29 16:47 URL | チタリニ #- [ 編集 ]













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