うしろすがたのしぐれてゆくか

愛するフレンチブルドッグと昨日と今日と明日と旅と。

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今のところに越してきて、いつの間にかずいぶん月日が経っていた。
以前の住居からは徒歩で数分と離れていないこともあり「何かがが変わることなんてほとんどないだろう」と高をくくっていた。
だけど実際はそうじゃなかった。
マンションの向きの問題で陽当たりが悪くなったことと、公園で遊ぶ子供や犬の声が室内まで聞こえるようにはなった。だけど近くに大型商業施設があるのも最初からだし、もともと交通量だって多い場所。こんなことにはもう慣れた。

以前住んでいたマンション。
くどいようだけれど、そこはここからほんの数百メートルしか離れていない。この部屋のベランダからもよぉく見えるほどの距離。
私たちはそこの住人としてはわりと若い方で、引っ越し早々近所にあいさつにいくと「あら、お若いご夫婦ね~」なんて言われたくらい、周りは初老以降の方々が多かった。外国人もかなりいた。
ちなみに私はすでに「おばはん」なのですがね。

犬や猫や、鳥を飼っているひとたちもいて、なんていうか、むかしの女子寮みたいな雰囲気が立ちこめていた。そして下町っぽい濃厚で密接な人付き合い。
だけどいくら隣の犬がワンワン吠えていても誰も文句を言わない。
ときどき、少年がマンションの壁にボールをぶつけて野球の練習をする。
それでもやっぱり誰ひとりとして文句を言わない。
確かに睡眠不足で眠いときなんか、正直「うるさいなー」と思うこともあった。だけど最近の子供は他に遊ぶ場所もないんだろうな…と思えば我慢もできた。
どうせ1時間もやったらおしまいだ。他の人達もみんなそんな気持ちだったんだろうと思う。
「おたがい様」ってやつ。

P1010782.jpg
あるとき、いつも元気なお向かいの人が車イスに座って…あれは顔がよく似ているから多分お姉さんか妹だろう…後ろから押してもらっているところに出くわした。
私たちと目が合って彼女はモジモジと恥ずかしそうにしていた。
ふと視線を下に向けると手に包帯を巻いている。
そういえば前の日。非常ベルが「ジリリ…」と短く鳴っていて、なんだかバタついている様子だったことを思い出す。もしかして、と聞いてみると「天ぷら鍋が火をふいてやけどしたのよ」と言う。
非常ベルが鳴るのもあそこではよくあることで、そのたびに管理人さんが止めにきていたからいつのまにか慣れっこになっていた。

またある夜のこと。
駐車場がやけに騒がしいと思っていたら、子供の声で「警察呼んで下さーい!!!」という叫び声が聞こえる。下を見ると挙動不審な男とおじいさん、おばあさんが揉めている様子。
慌てて私が110番したこともあった。

階上からはいろんなものが不法投棄されていた。警察官がうちにまで話を聞きに来た。やはり上の階から「開けてよー! ドンドンッ!」なんて、夫婦喧嘩でベランダに閉め出されたのか、おばさんの騒いでいる声が聞こえてくる、なんてことも。

入居して間もないある日「裁判所です」と男が尋ねてきたが、怪しいと思ってドアを開けなかった。だって私たちには何ら思い当たる懸案なんて無かったから。
しばらくすると管理人さんが「○○さ~ん!」とやって来た。
ドアを開けると、裁判所から来たという男性を伴っていた。私たちが入居したこの部屋が、どうやら競売にかけられているらしい。
「スミマセンが一応写真を撮らせてもらいます」私たちは言われるがままに室内の写真をバチバチ撮られ、その場に立っているしかなかった。
へ??? なに? どういうこと?
不動産屋などに調べてもらった結果、大家さんが破産したのでこの部屋を売りに出したようなのだ。分譲賃貸ってやつには意外な落とし穴があるもんだとまたひとつ勉強させていただいた私たちでした。とにかく世の中は何が起こるか分からない。
ま、その後大家さんが部屋を買い戻し、私たちはそこに住み続けることが出来るようになって一件落着したんだけど。

それから、どういうわけか本当によく警察がやって来た。
消防車や救急車だって何度も来た。そんなふうにどこか騒々しいところだった。
だけど、外で物音や悲鳴が声が聞こえれば、マンションから次々に人が飛び出してきて、警察が来る前にはすでに住民が介入して男を押さえ込んでいたし、私たちも「地震が来たら、まずお隣のおばあちゃんを助けなくちゃね」なんて、話してもいた。
およそ東京近郊とは思えない濃密なご近所付き合い。
何年かあそこに住んでいたせいで、すっかりそういう生活に慣れきっていたみたい。
廊下で立ち話したり。ときには家庭の悩みごとの相談にも乗っていた。
子供の頃は、周囲の「すべての人と顔見知り」状態があんなに嫌だったはずなのにどうしてだろう。

P1010783.jpg
いまだに道で前のマンションの人達とすれ違うことがある。
「久しぶりです~」とあいさつをする。
みんなが時雨を可愛がってくれた。
みんながゴミを朝8時30分までにきちんと出していたし、同じ階の人は全員顔見知りだった。「いいひと」ばっかりではなかったもしれないけど「濃いひと」ばっかりだった。

すこし前、夜にベランダで洗濯物を干していたら、そのマンションの前にパトカーと消防車が停まっているのが見えた。ああ、やっぱり。
私たちが引っ越したのはそのせいなのだ。色んなことが気に入っていた住処だったけれど、ただひとつ譲れなかったこと。
しょっちゅう揉めごとやボヤ騒ぎがあったり、あまりに築年数が古いビルなので地震で倒壊する恐れもあった。どうしても時雨をひとりきりで留守番させる気になれなかった。
新しいマンションなら、警報装置やらその他いろんなシステムがあるから安心できるかもしれないと思ったから引っ越しを決めた。
でも、実際はぜんぜん違った。
建物は新しいかもしれないけれど、これだけで安全を手に入れたことにはならないということに気付かされた。
誰かがゴミ出しのルールを守らないし、私たちが挨拶をしても、こちらに顔も向けずに無視されることが多々ある。
ちょっとしたことですぐに注意喚起のビラが全世帯に回ってくる。
だけどそれでおしまい。
快適さと引き換えに失うものが多いなんてことはじゅうぶん分かっている。
私はべつに、蛇口をひねればお湯が出る、とか、自動でお風呂が湧く、とか、そんなものが欲しいわけじゃなかったんだけど。
さて、この次はどこへ行こっかな。

*注 写真はイメージです

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次は、一軒家どうです?庭があれば、時雨ちゃんも喜びますよ。なんて、うちもそう思っていたのですが、今じゃ、スヌーピーなんて庭には、トイレにしかしに行きませんよ。初めのころは、1日中庭で遊んでいたのに。私たちも前は、安全な新しいアパートに住んでいたのですが、コンクリートの建物だけに乾燥するので、夫のアレルギー・喘息は、酷くなるしで、一軒家に住みたいと思ったわけです。でも、一軒家となれば、セキュリティー・アラームは、付けないとならないし、古い家なので、しょっちゅういろんな所を直さないとならないし・・・面倒なことも多いですね。ちなみに、パリ・パリ近郊の人達って、それほど近所付き合いないです。その代わり、スヌーピーを通して散歩中に話しかけられて知り合いになると言うパターンは、よくありますけど。

2007.11.26 23:54 URL | Snoopyママ #- [ 編集 ]

>Snoopyママ さま
一軒家、移りたいですーーー!
でも、都内近郊で庭付きとなるとそうとうな値段を覚悟しなくちゃいけませんね(笑)
日本のマンションは、ペット可でもいろいろ規制があって神経を使うし
だからこそ近所付き合いが必要なんだと痛感したんですよ。
時雨はパピー時代かなり夜鳴きをしたんですけど、ご近所さんとコミュニケーションを取っていたせいか、苦情が全く無くてホッとしましたしね。。。
でも、私たちも一軒家のネックはセキュリティーだと思ってます。
それが確保できるいい物件があったら、次はトライしたいですー!
パリは都会だから近所付き合いは少なそうですよね。
私も東京都民のときは両隣の人しか知りませんでした。
でも、今住んでるところは普通にスーパーのレジの人に世間話を振られたり
スヌママさんと同じく、犬がらみで知り合いになるひとも多いですよ。
じつは案外田舎なのかも?

2007.11.29 20:20 URL | チタリニ #- [ 編集 ]













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