うしろすがたのしぐれてゆくか

愛するフレンチブルドッグと昨日と今日と明日と旅と。

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 某日、都内某所のオサレな書店に行った。
 まずは天然系(? ku:nelとかlingkaranとか天然生活とか…)雑誌をひととおりチェックしたあとで現代アメリカ文学の棚を物色していると、私のすぐ横では清潔そうな白いセーラー服を身にまとった少女が熱心に本を手に取ってはパラパラめくり、また棚に戻し、ということを繰り返していた。
 メガネをかけていて真面目そうな雰囲気の女の子。
 彼女はしばらくしたのち、その場を離れて行った。
 
 すると妙な音が店内に響き渡った。一度じゃなくて二度続けて。なんだか気に障る音。室内で、しかも書店で聞こえるような音ではない。子供がふざけてよくやるアレ。口の中で、舌の先を上あごで弾くような、あの音。「トンッ」とか「コンッ」とかそんな音の。
 それが何度も聞こえるので、つい反射的に音のするほうを振り返ってしまった。思いっきり。
 視線の先には40代くらいの男がいた。目が合ったような気もするし、違う方向を見ていたような気もする。いったいなにをやってるんだろう。
 でもまあ、と、気にせず書棚に向き直り背表紙をチェックしていると、さっきのセーラー服の女の子が再び私の横にやって来た。

「コンッ」
 また鳴った!!
 なんなんだ…と思う間もなく、横の少女が「っせえな…」とつぶやいて、踵を返した。なるほどね。私はもう一度、そして今度はそうっと振り向いた。確信があったからだ。
 少女は私がさっき見た男の方へと向かって行く。どうやら、広い書店内で少女の姿が見えなくなると、父親とおぼしきその男が彼女を呼び寄せるために舌を鳴らしているようなのだ。そう確信した瞬間鳥肌が立った。もちろん、背筋がぞっとして。
 あれは嫌でしょ。真面目そうな彼女の、いまどきっぽい口調にも同情してしまう。
 
 その後すぐにふたりして私の横にやってくると、女の子が一冊の本を手に取った。男は「いいよ、それ買っても」とにやにやしながら言い、彼女はすこし悩んでから本を棚に戻した。
 女の子は男の前ではけっこう丁寧な口の聞き方をしていた。少なくともさっきの「っせえな…」というイラついた雰囲気はみじんも匂わせていなかった。
 
 オトナが発する態度のうち、思春期の少女に対する最大の敵は「無神経」だと思うんだけどね。
 ああいうおじさんって、自分が中学生だった頃の気持ちなんて忘れちゃうんだろうか。あんなのは一過性のハリケーンみたいなものだって思っているんだろうか。
 だけど、少なくともおばさんはそうじゃないと思う。じゃなかったら韓流ドラマが流行ったりはしないだろうから。

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2008.08.25 19:17 | どこにも属さないお話 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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