うしろすがたのしぐれてゆくか

愛するフレンチブルドッグと昨日と今日と明日と旅と。

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 朝からやけに目が乾いていた。ためしに何度か目薬を差してみたけれど、ぜんぜん潤ってくれない。こんな日に限って。
 
 これから友人の狂言の発表会を観に行く予定だっていうのに。途中電車の中で読もうと、つい先日amazonで買ったばかりの「重罰化は悪いことなのか/藤井誠二」をカバンに突っ込んで、あわてて部屋を出た。
 
 やっぱり違う本にすればよかったかな。山手線に揺られながらページをめくってみるものの、目の乾きが気になって内容が頭に入ってこない。そのうち、痛みでまぶたの開閉が困難になってきたので、仕方なく本を閉じることにした。それに合わせてゆっくりと目を閉じる。だけど、涙がまったく出ないのはどうしてなんだろう。
 電車の中で目を閉じているからといって、別に眠いわけじゃない。頭は冴えているから、前に立っている女の子たちの会話が耳に飛び込んでくる。
「会社の昼休みって、テレビ何ついてるの」
「うちはだいたいタモリさんかな」
「タモリさんっていつもおんなじだよね」
「うん。出てる芸能人も毎週おなじことやってばっかだし」
 この後も延々とタモリさん話に花を咲かせるふたり。ところで、どうして「さん」付けなのだろう。私なんて「タモリ」だよ。いつも呼び捨て。
 
 渋谷西口を出て246を進む。ハチ公前はあんなに縦横無尽に大勢の人達が歩いてしゃべって笑っていたのに、246沿いの道にはほとんど人がいない。セルリアンタワーが見えた。ここの地下2階が能楽堂だ。長いエスカレーターを降り、ずっしりと重い扉をゆっくり押し開けて中に入る。なんとか友達の出番には間に合ったようだ。昨年も来ているので、出演者の中にいくつか見覚えのある顔を見つけた。
P1030381.jpg
 素人の発表会とはいえ、みなさん野村万作先生の門下生。豊かな表現に思わず笑いが起こる。舞台の奥には、生徒さんが台詞に詰まるとそっとささやく野村万作先生が。途中、息子の萬斎さんも同じ役目で舞台上に。おふたりとも立ち居振る舞いがあまりにも美しかった。
 友人の舞台を観たあとで、トイレに駆け込み目薬を差す。鏡をのぞき込むと、尋常じゃないくらいの目の血走り。頭もガンガンするので挨拶はせずにそのまま帰ることにした。
P1030382.jpg
 帰りにまい泉に寄って、カツサンドを買おうと思ったら売り切れだった。とんかつ弁当も売り切れ。小さいヒレカツとシャケの切り身と煮物の弁当をふたつ買う。
 電車に乗ると、横に立っている派手なギャルたちがふざけて盛り上がっていた。祝日だからってことではないと思う。さっきの彼女たちにしても、本当はどうだっていいのだ、タモリなんて。
 私もよく友達とバカ話をする。どうでもいい話を延々と。あるとき泉ピン子の話をだらだらしていたら、横にいたその子の彼氏が「いい加減にしろよ」とイライラし出した。いい歳をした男はどうでもいい話を延々とはできないのか。つまんないね。
 
 あるとき昔からの友達数人で飲んだ。ひとりはその日、別のお誘いもあると聞いていた。彼女は終電間際まで携帯とにらめっこしながら「行こうかどうしようか」揺れているらしかったけれど、そのうち「やっぱ行くわ」と立ち上がった。
 残りのメンツは引き止めもしないし、はやく行けばとも言わない。「うん、じゃまたね」。もう何十年も友達をやっているとこんなものだ。去り際に彼女が言った。
「そんなに仲良くない人達としゃべっている方が楽、っていうときもあんのよ」


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2008.11.03 22:19 | 本とか作家とか仕事とか | トラックバック(-) | コメント(-) |
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