うしろすがたのしぐれてゆくか

愛するフレンチブルドッグと昨日と今日と明日と旅と。

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DSCN0112.jpg

数年前にホームヘルパー3級の講習を受けた。

それは、帰国してまだ間もない頃で
これからどんな仕事に就こうか考えあぐねていた時だった。

私が通ったのは、1ヶ月ほど集中して通いで授業を受けるクラス。
そこでは、20代の若い男の子から60歳の女性まで
年齢も経歴もさまざまな人たちが一緒に授業を受けていた。
しかし授業が進んでいくに従って
「私にはムリかもしれない…」と思うようになっていき、
クラスの何人かも同じようなことを言い出していた。
たとえば、
〈人の生き死に〉に触れる仕事にもかかわらず、学習期間があまりにも短い。
検定試験が無いせいか、免許制ではなく《修了証》という身分の不安定さ。

とはいえ教室での授業はあっという間に終わり、
施設研修とお宅訪問を残すのみとなった。
これが終われば、いよいよ修了証を手にすることができる。
期日が決められ、二人ずつ組み分けをされた。

そして当日。
施設に到着し、まずは朝礼で自己紹介。
申し送りなどをしたあとすぐに、別々のフロア担当ということで
二人はそれぞれの持ち場へ急いだ。
私は認知症のお年寄りばかりが生活しているフロアで、
エレベーターはいちいち鍵をかけて昇降させている。
徘徊して施設の外へ出るのを防ぐためだそうだ。

無邪気に話しかけてくれるお年寄りもいれば、理由も分からず急に怒り出して
私の腕を引っかいた人もいた。
誰彼となく延々と口汚くののしり続ける人や、うつむいて黙ったまま
じっとしている人もいた。
ひとくちに認知症といっても、様々な症状がある。

とにかく職員の忙しさといったら半端ではなく、常に小走りの状態。
分刻みでスケジュールをこなしている彼、彼女らに話しかけるのは
私でさえ結構気を使った。

事前に心配していた糞尿の匂いは、いざ自分ひとりでおむつ交換となると
手順を追うだけで必至だったせいか、ほとんど気にならなかった。
それよりも、いくつか施設内で目にしたことの方が気になった。

お昼休みにお弁当を食べながら話をしていた時、同じ学校から来た女の子は
「私は自分の親をここには入れたくない」と言った。
彼女のいたフロアは、まだ比較的会話が可能なお年寄りが多かったそうだが、
それでもいろいろ感じるものがあったらしい。
「ここにいると、きっと認知症はどんどんひどくなる気がする」
彼女はそうも言っていた。

しかし、とにかくこれから数日間は言われたことを忠実にこなし、
文句は言わず、感謝して帰ることにしようと話した。
もし自分がなにか事を起こせば、終了証がもらえないばかりか
学校にも迷惑をかけることになってしまう。
施設研修にあたっての注意書にも、確か
《施設内で見聞きしたことに対して思うことがあったとしても、
施設側には言わないで学校に言ってください》というような文言があった。

私たちは、胸の辺りになにか重い塊を抱えながらも
「大人」として、その場を流すことに決めたのだ。

IMGP1361.jpg

そして、実習は無事に終わり
あとは修了証を受け取りに学校へ行くだけとなった。

久し振りにみんなと顔を合わせた時、いちばん若い女の子の姿が見えないことに気が付いた。
彼女と一緒に研修に行った人に聞いてみると
私たちが感じたようなもやもやを、彼女は自分の中で消化することが出来ずに
施設の人にぶつけてしまったらしい。
多分その言い方もあまり良くはなかったのだろう。責任者は激高し
「全員このまま帰りなさい」という事態になってしまったそうだ。

彼女は教室でも少し攻撃的な態度を見せていたせいで
年配の人達からはかなり嫌われていたが、私とはちょこちょこ話をしていた。
若いって、こういうことだよなぁ…と感じるような女の子。
正義感が強くて攻撃的で、自己顕示欲が強くて、自信に満ちあふれているような…
それでいて実は、結構恥ずかしがり屋な面もあった。

その後なんとか仕切り直して最終日まで実習をこなし
彼女にも終了証は出ていたようだった。

しかし、その日最後まで彼女が学校に顔を見せることはなかった。

私はといえば。
終了証はもらったが、ヘルパーになる気はまったく無くなってしまっていた。
様々な不安が解消されなかったこともあるが、一番の理由は持病の腰痛。
研修の数日間で、整形外科にしばらく通院しなければならないほど
悪化させてしまったのだ。

やっぱり何をやってもヘタレな私。
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わたしには出来ないな~。
ヘルパーさんをしている友人がいるけど、とても大変そう。
彼女は、自閉症の息子さんと毎日帰りの遅い旦那さんの世話をしながら、半日だけ働いているようだけど、
体も心も辛いと言ってます。でも、他に出来る仕事もないし、とも言ってたな。

だれかがしなければ困る仕事だけどね~。

身内がしてあげられれば一番いいんだけれどね~。

でもさ、そうやって、資格を取りに行ったアナタこそ
偉いと思うわ。

2006.08.15 11:15 URL | イカ69 #- [ 編集 ]

>イカ さま
お盆だからほとんど読む人もいないだろうと思って、犬とか旅とはまったく関係ない話を書いてみました。
イカさんはお休みずらして取るんですね~。

そういえば、同じ教室に通っていた60歳の人は
「今日電車で席を譲られてショックだった!」と言いながらも
やっぱり、「他に出来る仕事がないから」と言ってました。
おばさんたちはみんな、そういう感じだったかもしれません…。
あと、感情移入が激しくて、つい相手のことを考えすぎたりして辛くなりそう…なんて言ってました。

施設を見ている限り、若い人の方がドライにやっている気がしました。

ちなみに、この話はまだ続きます。

2006.08.15 12:55 URL | チタリニ #- [ 編集 ]













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