うしろすがたのしぐれてゆくか

愛するフレンチブルドッグと昨日と今日と明日と旅と。

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あとでカデのお父さんが私たちの部屋までやってきて
「どこで転んだ?」と聞かれ
「ここ」と指をさして答えると
その場所には聖水が振りかけられ、お香が焚かれ
おしまいに祈りが捧げられた。
カデのお父さんは、この辺りではわりと名の知れたトペン(仮面舞踊)の名手。
私たちはただただじっとその行為を見ているだけ。

夕方近く、その騒ぎを知らずに仕事先から戻ってきたイブは
ことの成り行きを聞くやいなや
「だってチタリニ達が近くにいたんでしょ!」
そう言って、ものすごく怖い顔をした。
親戚のおじさんが私たちに気を使って
「イブは少しイライラしているからあんなふうに言っているけど気にしなくてもいいよ」
と言ってくれるが、ますます針のムシロ。

私たちのせいで転んでしまったという雰囲気に
心苦しく、どんどん辛くなっていく。

バリは日本と違って石造りやタイル張りの場所が多くて
普段から危ないなぁとは思っていた。
身体の不自由な子供と一緒にいる時は、私たちがもっと
気を付けてあげなければいけなかった。
しかしあまりにもあっという間の出来事で、なにがなんだか分からなかった
というのが正直な気持ち。

私は部屋の中に居てその瞬間を見ていなかったし
だんごさんにしても、気がついた時には、もう
ひっくり返っていたそうだ。

翌日、別の家で暮らしている親戚がやってきてカデの名前を呼んで
おでこをくっつけあって
「良かった~」
なんて言っているのを見ていると、ひどく胸が痛んだ。

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ちょうどその頃、宿では大きな儀式を間近に控え、お手伝いにと
近所の人達が続々とやって来ていた。
不思議なことに、バリ語が全くといっていいほど分からない私たちでさえ
自分たちのことを噂しているのだろうということは
その雰囲気からイヤというほどに読み取れた。
そんな視線に耐えきれず、またもやいたたまれない気持ちになって部屋に戻ろうと
思った時、ばあちゃんが通りかかって人々に何かピシャッと言葉を投げ掛けた。
するとその雰囲気が一気に消し飛んだ。
ばあちゃんが私たちを擁護してくれたみたいだった。
それがとても嬉しかった。

インドネシア語がそれほど得意ではないばあちゃんとはいつも
あいさつを交わしていただけだったが、とてもしっかりした
人格者というイメージのお年寄りだ。
背筋はいつもピンッと伸ばされている。
なかなかお茶目なところもあって
例えば庭のガゼボに暗くなるまでゴロンと横になっていて、家族がそこを通るたびに
「寒くなるからちゃんと部屋に戻って蒲団で寝なよ~(想像)」
と声を掛けていくが、ばあちゃんは
「ああ」とか
「おう」とか言うだけで、よっぽど眠かったのかその場を動こうとはしない。
かなり辺りが暗くなった頃、イブの長男がしつこく言い聞かせると
よっこらしょという感じで腰を上げた。
私たちも夕方から暗くなるまでずっとテラスにいてその光景を見ていた。

そしてばあちゃんはくるりと振り返って私たちを見て
「へへっ」
怒られちゃったよ、まったくみんなうるさいねぇという感じで笑った。

カデは、さすがに次の日こそよそよそしい態度だったものの
そこはやはり子供、一日経てばまた遊びたくて
近くにきては私たちの名前を呼ぶ。
多分親戚一同に
「もうテラスには上がっちゃいけないよ」
もしかすると
「もうチタリニたちとは遊んではいけないよ」
と言われているのだろう、階段を上がってこようとはしないし
私たちだってもう怖い思いをしたくはない。
これからは下に降りて、庭でいっしょに遊ぶことにした。

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それでもイブの親戚筋は、カデが私たちと話しているだけで、いちいち
「だいじょうぶなの?」
他の人とコソコソ噂したり、わざわざ彼のお母さんに報告したりしていた。
そして、そこを人が通るたびに
「気を付けてね」
そう声を掛けられるようになってしまった。

もう、私たちと一緒にいるだけで危険だと思われているみたい。
そんなふうに思われるなんて、本当に悲しいことだ。
こんな日が続くと、どうしたって居づらくなるし
次第にテラスには出ないで、部屋の中で過ごすことが多くなっていった。

そうするとカデは部屋の外から私たちの名を呼んでは
「出てきて遊ぼうよ!」
と無邪気に誘う。
それを無視するのはあまりにも可愛そうだ。
だから外へ出て遊んでいると、いつも誰かがチラチラ見ている。
これはかなりのストレス。
とにかくカデが私たちの近くにいるだけで
周りの空気が変わるようになってしまった。

誰かに相談したくてもまわりには誰もいない。
だんごさんと私では当事者同士だし。
とりあえず日本にいる友達数人にメールで報告をしてみたものの
心苦しさやいたたまれなさが消えるわけでもなかった。

幸い彼の両親は、それ以前の態度となんら変わることは無かったし
かえって前より明るく接してくれるようになって
気を使ってくれているのを感じた。
転んだ次の日だって
「もうだいじょうぶだから、心配しないで」
落ち着いた態度で、そう言ってくれた。

しかしもうこれ以上ここに居続けるのは辛い。
私たちは、ここを出る決心をした。        
(3 までつづく)
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どこの国でも同じなんだと言う事に少し
衝撃を受けています。
カデ君のまっすぐな心が響いてくる様で
胸が熱くなりました。
どうかチタリニさんとカデ君の絆が
途切れません様に><

続きがとても気になります…

2006.09.02 22:38 URL | みぃ #- [ 編集 ]

>みぃ さま
特に、バリは日本の地方の(昔の)雰囲気と似ているんですよ。
私も地方出身者だからヒシヒシと感じるものがあるんですけど、ものすご~くおせっかいなおばさんがいたり、
お葬式や結婚式は、友人じゃなくて近所の人がたくさん来たりとか…。
だから、一旦こじれると難しいかな~!?

うまく行けばいい人に巡り合って、帰国する時に泣かれたとか、そんなことも多いんですけどね・・・。

2006.09.02 23:18 URL | チタリニ #- [ 編集 ]

うーん・・・。
せめて言葉がね・・・って雰囲気だね。
弁解できないのが辛いとこ・・・。
でもカデ自身が遊ぼうと誘っているのを大人は見ているだろうし、どこにでも人のせいにする人っているんだなー・・・。
ところで、しぐっちどう?

2006.09.03 14:36 URL | やまたいかーちゃん #- [ 編集 ]

>やまたいかーちゃん さま
いいところも悪いところも含めて、それでもバリが好きなんですよねぇ…。
友達もみんな何かしらトラブル経験アリです。

しぐはですね…、実はついさっき下痢をして医者に行ってきました。
アレルギーはすっかり良くなって、今回のは腸内細菌が悪さをしていたそうですが、
お腹が痛いはずなのに、先生に飛び付き看護師さんに飛び付きで
「興奮症ですねぇ、こういうコは神経からくる下痢も多いのであまり興奮させないように」と言われちゃいました。
そういえば、家に友達が遊びに来た翌日は必ず下痢だ…。

2006.09.03 18:17 URL | チタリニ #- [ 編集 ]













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